NPO法人国内産米粉促進ネットワーク(CAP.N)は日本米粉協会と連携し、「米粉の用途別基準」、「ノングルテン表示ガイドライン」の内容を広く普及、啓発するための地方説明会を8月1日、大阪市中央区のTKP大阪御堂筋カンファレンスセンターで開きました。8月中旬まで全国8か所で開催する説明会の3番目(仙台、札幌会場に続く)となるもので、近畿地方各地から39人が参加しました。
主催者挨拶で、CAP.Nの島田圭一郎理事長(日本米粉協会副会長)が「米粉の新しい基準を生きた形に変えるため、皆さんから率直な意見を聞き、理解を頂いて普及していきたい」と述べました。
続いて、用途別米粉を使った料理方法の動画(15分間)を上映し、CAP.Nの萩田敏副理事長が「米粉の用途別基準」及び「米粉製品の普及のための表示に関するガイドライン」ついて解説しました。
これを受け、質疑応答が行われ、会場からは活発な意見や要望が出されました。
○「ノングルテンの基準となっている1ppm以下は、かなりハードルが高いと思うが、(認証を受ける)工場基準には、かなりレベルの高いところを求めているのか」
(萩田))「原料米のチェックから始まり、工場管理、工場内に麦やグルテンを持ち込まないなどの扱いが求められ、コンタミネーションに対する管理意識などが求められる」
○「今回の用途別基準だと、アミロース含有率で区分が分けられているが、15%未満を満たす原料米があるのか」
(萩田)「必ずしも一つの原料米だけでなく糯やアミロースの異なる原料米をブレンドすることでさまざまなアミロース含有率の米粉が可能である。一般の品種は18~20%。低アミロース米は15%以下。高アミロース米だとアミロース含有率が30%を超える品種もある。粒度とでんぷん損傷度についてはもう少し区分を細かくしたら、という議論もあったが、消費者にとってはかえって細分化され分かりにくいこともある。各製粉メーカーによっては成分数値の表示もあるだろう。数値を記載する選択肢もある。10月頃までに表示(表記)例を出したいと考えている」
○「基準内容については、新規需要米が対象になると思うが、ここでは和菓子などは使用できないと明記してはどうか」
(萩田)「確かに上新粉などは入らない。和菓子用には既存の加工用米がある。新規需要米を想定した基準としている」
○「米粉については、これまで使い勝手が悪いから、あまり普及しなかったのか。(用途別基準を策定するにあたり)この辺も議論した経緯があるのか」
(萩田)「製粉方法の違いにより、吸水率や粒度も変わり米粉によりレシピ通りにできないなどがいわれていた。でんぷん損傷度によって加水量が変わってくる影響などがあり、米粉(料理)の使い方が分からないなどがあった。米粉の用途別のレシピを伝える事が重要。そこで、この粉は菓子用、パン用、麺用など分かれば、料理目的で米粉を選択でき使い勝手が良くなる。米粉については、今まで何もなかった。これをきっかけに需要の拡大を図っていきたい」
○「ノングルテンの米粉となると、米粉の原料米に小麦が混ざるような場合、気になる。通常の精米機では考えたこともなかったが」
(萩田)「色彩選別機でかなり除けると思うが、コンバイン、乾燥機を供用するとコンタミネーションが心配。原料米の段階でしっかりチェックしないと不安。ノングルテン米粉を作る場合、管理する意識が必要。製粉メーカーは原料米をチェックする必要がある。新規需要米は生産者まで結びついているので原料米の生産履歴を知っていることも必要となる」「ただ、必ずしも、ノングルテンだけが米粉とは思っていない。小麦粉の中に5%の米粉を入れてカラっとあがる天ぷら粉のような使い方から、15~20%のグルテンを添加した米粉パンもある。小麦粉に米粉が入ったミックス粉もある。様々な使い方ができるのが米粉の特徴であり、特徴を活かしてトータルで米粉の需要の拡大ができる。今回の基準設定も麦や、グルテンの混入が極めて少ない1ppm以下をアピールした米粉として需要を喚起する」
○「なぜ、こんなことを話したかというと、以前、北海道で売られていたソバ粉に小麦粉が混ざり、回収したことを聞いたからだ。粒が違うのに何で混ざるのか不思議に思ったもので。(それ以来)今はスーパーで売っている製品にはみんな書いてある」
(萩田)「食品表示基準で特定原材料の7品目アレルギー表示の義務がある。また、特定原材料に準ずるもの20品目の表示推奨するものがある」
○「ノングルテンの認証とグルテンフリーの表示は」
(萩田)「新たなノングルテン(1ppm以下)については、第三者の認証対象となる。通常、グルテンフリー表示というと、欧米の基準ではセリアック病対策等で20ppm未満/以下。日本では食品表示法で10ppm未満を小麦アレルギー表示の境目としている」
○「今回の基準は米粉の需要拡大に向けた1つの方策と見るが、これまで技術的にパンや麺類、パスタなどはグルテンがないとできないのでは、と思っていたが、先ほどの動画を見てちょっとびっくりした。グルテンなしで作る(レシピの)情報発信はどうなっているか」
(萩田)「これまでの麺で多いのは、馬鈴薯でんぷんやタピオカ粉、コーンスターチなどを使う場合がある。米粉はパンや麺だけでなく、天ぷら粉、たこ焼き、お好み焼きなどにも使える。学校給食などでも、米粉パン、麺類だけではなく米粉を副食や副材としても使ってほしい。使い道はいろいろある。とろみ付けや唐揚げ粉などにも使える。家庭でも幅広く使っていただきたい。レシピなどの情報発信をしていくこととしている」
○「これらを、ホームページでもきちんと説明してほしい。情報発信が必要だ」
(萩田)「ぜひ今後は順次、そうしていきたい」
○「ノングルテン食品では、どんな品目が消費者に受け入れられるのだろうか」「1,2,3番だけで消費者に選んでくれとは。あとは製粉メーカーが書いてくれでは消費者は判断できないのではないか」「アミロース含量20%未満でも麺類はできるのではないか」
(萩田)「大くくりとして3区分にした。9分割にすると詳細に区分けできるが、先ほども申し上げたが、消費者にとってはかえって分かりにくいこともある」
最後に、島田副会長が5月25日に設立した日本米粉協会について、設立目的や活動内容等を紹介し「新しい協会の発足を契機に、米粉の新しい時代に向け、川上から川下まで一丸となって事態を大きく変えていきたい」と、多くの方の入会を呼びかけました。
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