〈地方説明会・東京〉製品認証は今後の検討課題

2017年09月12日 活動・お知らせ

NPO法人国内産米粉促進ネットワーク(CAP.N)主催、日本米粉協会共催による米粉の用途別基準、ノングルテン表示ガイドライン地方説明会が
8月18日、東京都中央区のTKP東京駅日本橋カンファレンスセンターで開かれました。8月中旬まで全国8か所で開催する説明会の最後となるもので、関東甲信越地域から86人が参加しました。

主催者挨拶で、CAP.Nの島田圭一郎理事長(日本米粉協会副会長)が「これまでの説明会では様々な分野の参加者から多くのご意見を頂戴した。
本日の説明会が最後となるが、引き続き率直なご意見をお聞かせいただき、米粉の需要拡大に結びつけたい」と述べました。続いて、用途別米粉を使った料理方法の動画を上映し、CAP.Nの萩田敏副理事長が「米粉の用途別基準」及び「米粉製品の普及のための表示に関するガイドライン」ついて解説しました。

①米粉地方説明会の東京会場

これを受け質疑応答が行われました。

≪主な質疑≫(要約)

○「小麦粉の場合は、グルテンたんぱくの量によって強力、中力、薄力と分けられているが、米粉についてはお米の種類で決まっているのか。今回の用途別基準では、結局は、1番、2番、3番はどう分類されているのか」
(萩田)「1つはアミロース含有率でお米の性質が区分される。2つ目の粒度、でんぷん損傷度については、製粉工程で影響される。必ずしもパン用の米粉で麺ができないということではなく、主に何に適しているかの区分だ。主な用途として菓子・料理用、パン用、麺用ということで区分をしたのでご理解願いたい」
○「数値で分類するのも、発売する方が自分で判断するのか」
(萩田)「そうだ。製造・販売するメーカー等が該当する米粉の測定数値が各項目の区分に当てはまるか判断し用途表記をしてもらう」
○「先ほどのDVDの中にあるパンについては、今回の基準で作ったのか」
(萩田)「2番の米粉で作った」
○「ノングルテンについて、分析機関が載っているが、ここに持っていけばノングルテンを測定してもらえるのか」
(萩田)「検査を行っているところは、これ以外のところでもある」
○「関連して、測定できるのは米粉のみで、実際の製品については考えているのか」
(萩田)「今回はまず、安定的に1ppm以下のものが測れるのか検証した。
製品については、数値は出ると思うが、今回は米粉に限って安定的にできるということで決めた」
○「例えば、米粉パンを検証できればノングルテンとうたえる可能性はあるのか」
(萩田)「米粉パンなどの加工品の1ppm以下の検証は、コスト、時間、検証試料等の条件から難しい面があり検証してない。今回は米粉単体だけにした。ただ、いずれは添加物の少ない加工性の低いもの、例えば麺類みたいなものだと検証は可能かと思う。とりあえず米粉のみでいくことにしたが、1ppm以下の米粉を使った製品の認証をどうするかについては、日本米粉協会の専門委員会で検討している」
○「でんぷん損傷度10%未満という基準はいささか乱暴ではないのか。
従来から一番問い合わせが多いのは、米粉によって加水率が変わり、加工特性が変わるということだ。消費者の利便性を考えた基準だろうが、いささか乱暴ではないのか」
(萩田)「ご指摘のように、確かにでんぷん損傷度が3%と9%では加工特性も変わるので、昨年の専門委員会でも区分をという意見もあった。区分が多すぎてもということで共通の基準(10%未満に統一)にした。1、2、3番とは別に数値を何%と記載することも可能。これらの意見を踏まえ、数値の記載例みたいなものを例示(表記)で示すことなどは検討中だ」
○「今回のノングルテンの1ppm以下は分かるが、日本ではグルテンフリーという表示基準はないのか」
(萩田)「その通り。食品表示基準では、数ppm以上の小麦総たんぱく量を含む状況であれば、容器包装に小麦アレルギー表示をしなければならない。消費者庁も混乱ないように注意喚起している」
○「製粉業者と加工メーカーがタイアップして、基準活用の進み具合について情報をもらえるのか」
(萩田)「後で説明があるが、5月に設立した日本米粉協会は川上から川下までの皆さんが集結し、多くの会員の方に入っていただき、会費で運用していく。現在、ホームページを作り、先ほど上映したビデオを紹介していく。これらに情報を載せていき順次拡大していく」
○「米粉は価格的に小麦より高い。新規需要米でも多収米などの開発はどうなっているのか。この辺の進み具合の情報も欲しい」
(萩田)「今、民間レベルでも国レベルでもそうだが、コストを下げようと多収品種、高アミロース米などの新しい需要に向けた開発も進んでいる。小麦と米粉では製粉方法が違う。なかなか(価格差の)逆転は難しい。今後、米粉の需要が拡大していけば、近づけるのかなと思う。それと、米だからこその良さ、様々な機能性がある。アントシアニンなどを多く含む有色素米とか、米にはグルテンがないなど、ほかにはない米粉の良さをどう伝え、アピールしていくかも重要なことだ」
○「第三者機関でしっかり調べることを周知してほしい。かなりの頻度で多い問い合わせは、きちんとグルテンを除去しているラインで生産できている加工メーカーを知らせてほしいということ。説明してもそれはどれだけ本当かは分からない。これは中間卸業者からよく聞かれる質問だ」
(萩田)「やりたいという意識の中に、製造業者がどんな意識を持っているのか。何よりも工場内にグルテンを持ち込まないこと。ただ、やる以上は、しっかりと第三者の認証を受けて取り組むことが重要。意識さえ持てばできる。年度内、冬になるかもしれないが、小規模の製造業者、加工メーカーの方に対して、説明会、研修会を開きたい」
○「ケーキ屋だが、今、4種類の米粉を使っているが、全部出来が違う。
作る側からの要望として、基準の数値をもう少し細かく、何%とか目に見える形で出してもらうとよい」
(萩田)「ほかの説明会場でも同様な意見、要望があった。確かにメーカー側がアミロース含有率どれくらいか、でんぷん損傷度何%か、粒度分布どれくらいか、示してもらえばと考えている。現在検討している記載例で示したい」
○「米粉を製造しているが、ノングルテンの表示認証機関は、どういったところがやってくれるのか。それが、いつ頃決まってくるのか。工場の監査基準、工程管理について決まったスケジュールの目途はついているのか」
(萩田)「なるべく早くしたいと思っているが、できれば年内に出したい。これと併せて、説明会も並行してやっていきたい」
○「日本の米粉1ppm以下という基準はすごく厳しく、素晴らしいと思う。国際競争力からいっても、輸出にアピールできると思う。欧米では1ppmは無理。やれる国は数少ない日本だ。ノングルテンは消費者にPRを」
(萩田)「現実には難しい。食品表示については、世界各国で違うし、そこに合わせないと。今は民間の自主的な取り組みなので、いずれは海外に通じる制度等仕組みになっていかないと(海外から)認められない」
○「1ppmのノングルテンをチェックしても、現実的には米粉のみでパンを作っても、海外では大麦やライムギのグルテンが入る可能性がある。この状態だと、ノングルテンと表示されてしまう心配がある」
(萩田)「将来的には輸出を考えていると思うが、海外(輸入国)の条件に合わないとできない。海外に通じるような制度等の仕組みになっていかなければならない。今後の課題だ」
(農水省穀物課・那須課長補佐)「ガイドラインには、ノングルテンの分析にも協力してもらったメーカーを記載している。民間の分析機関のほか、自治体運営の分析機関にもアレルゲン物質の分析は発注して受検することは可能」「6次産業化に取り組むメーカーだと製粉機自体の性能がそんなに高くない中で、でんぷん損傷度10%をオーバーしている人も、日本米粉協会に中に設けた品質向上委員会の委員に入ってもらっている。今回の用途別基準ではあくまでも比較的広域に流通している米粉を対象にして、1番、2番、3番に区分した。地域で取り組んでいる人にも入ってもらいながら、米粉全体の需要の底上げを図っていきたい」「原料米(新規需要米)の価格については、比較対象の輸入小麦とだいたい同じ価格のキロ50円。これを製粉した場合は、小麦の100円に対し、米粉は幅があるが100円から290円。粉砕によってコストに差がある。米は固い。また、国内で流通している小麦は500万~600万㌧に対し、米粉は2万3千㌧。現状ではスケールの違いもある」

②活発に意見が出された質疑応答

最後に、CAP.Nの高橋仙一郎専務理事(日本米粉協会事務局長)が5月25日に設立した日本米粉協会について、設立目的や活動内容等を紹介し、多くの方の入会を呼びかけました。

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