日本米粉協会の設立総会が5月25日、東京都千代田区のTKP神田駅前ビジネスセンターで開催されました。同協会は生産者団体、米粉の製造業者、流通・販売、食品製造、料理家、学識者、食物アレルギーに関心のある消費者などが一体となった組織で、40余の団体・企業や個人の会員でスタートしました。会長に服部学園理事長・料理研究家の服部幸應氏が選任されました。
設立総会には会員等関係者約70人が参加。日本米粉総会設立準備会を代表して全国農協中央会(JA全中)の田波俊明副会長が開会挨拶し「米粉に係る川上から川下までの関係者が連携して日本米粉協会が発足する運びになった。現在年間2万㌧台前半で推移している米粉用米の利用拡大、国内の水田の有効活用や食料自給率向上をめざしたい。今日は『米粉新時代』の創造を目指す記念すべきスタートの日になることを祈念する」と協会設立の意義を強調しました。
続いて忙しい公務の中駆けつけた農林水産省の奥原正明事務次官が来賓挨拶しました。奥原氏は10年前の食糧部長時代に「米の形で生産調整する」と米粉の普及に取り組み、米粉の生産・利用拡大に関する法律も整備した当時を振り返り「当時から思えば、本日の日本米粉協会の設立は本当にうれしい。用途別基準を作り、表示のガイドラインもできた。グルテンフリーを売り物にして海外にも出ていき、欧米でブームになれば日本国内にも還流してくることは歴史が証明している。米粉については今、相当大きなチャンスがきている。本格的な米粉時代がやってくる。どこのスーパーに行っても米粉商品が必ず置いてある、という時代を一日も早く作り出したいので、皆さんの健闘をぜひお願いしたい」と激励しました。
その後、静岡薬科大学応用生命科学部食品・作物資源利用学研究室教授の大坪研一氏を議長に選出し総会議事に入りました。提出された①設立趣意書(案)②運営規約(案)③役員(理事・監事)選任(案)④29年度事業計画(案)及び収支予算(案)――の4議案について協議し、いずれも賛成多数で了承、採択されました。
さらに、議案審議後、第1回理事会を開催し、会長に服部学園理事長の服部幸應氏を選任したほか、次のとおり役員体制を決めました。
理事会では服部会長が議長となって議事に入り、29年度事業計画で示した「認証委員会」「米粉の品質向上委員会」「新規米粉製造部会」の設置と委員、事務局体制等を承認しました(組織図参照)。
理事会終了後に再開された設立総会で服部新会長は「我が国は瑞穂の国。米は日本の文化そのもの。しかし、米の消費量は年々減っており、現在は52㌔(国民1人当たり)と(ピーク時の)3分の1にまで減った。(以前に比べ)他の食材が増えているとはいえ、これは由々しき問題。今、米粉利用量は2万㌧だが、数年で10万㌧の利用量に増やしたい。できればその倍にもっていければと思う。小麦アレルギーが世界的に問題になっている中で、グルテンフリーが欧米で評価されている。これからは評価が高い国産米粉の輸出にも力を入れたい。今後は会員一丸となって頑張っていくので、皆様方のご協力をお願いしたい」と就任挨拶を行いました。
閉会にあたり、武内秀行副会長は「日本米粉協会が本日発足した。今後、米粉の普及、拡大に我々一丸となって進めていきたい。また製造業者による『新規米粉製造部会』も本日新たにできた。これも米粉の普及に対し今後まとまっていけるかと思うので、皆さんのご期待に沿えるようにしたい」と述べました。
同協会は今年度はNPO法人国内産米粉促進ネットワーク(CAP.N)と連携し、米粉の使い勝手をよくするために策定した用途別基準と「ノングルテン米粉」を製品に表示するガイドラインの普及・啓発のため、「米粉の品質向上委員会」と「認証委員会」を設置します。また、輸出促進策では欧州4か国での国産米粉のPR活動に関するフォーラム等を計画しています。
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